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2026年4月1日から予定されている軽油引取税の暫定税率廃止に伴って、荷主側や元請運送事業者から運賃引下げの要請が出される可能性が高まっています。これに対し、政府(三者連名:国土交通大臣・中小企業庁長官・公正取引委員会委員長)は、適正な価格交渉の実施と不当な運賃引下げの抑止を要請する文書を関係団体へ発出しました。

この政府要請は、単なるお願いではなく、荷主との交渉の際に活用できる重要な根拠・交渉ロジックとなります。特に中小・中堅運送事業者が不利な条件で運賃を引き下げられないよう、次のようなポイントを押さえた交渉を進めてください。


1. 「軽油価格だけで判断しない」交渉ロジック

荷主が運賃見直しを求める際、軽油価格の下落は一つの要素に過ぎません。
政府要請は、燃料価格の下落だけをもって一方的に運賃を引き下げることを求めないように荷主団体にも求めています。

👉 運賃交渉では次を重視して伝えるべき点

✔ 燃料コストは下落しても、その他コスト(人件費、保険料、車両維持費等)は依然として高水準で推移している
✔ 運賃は総合的な事業収支を担保するためのものであり、燃料価格のみで決定されるべきではない
✔ 一時的な燃料価格変動で運賃が決められると、長期的な安定輸送が困難になる

――といった総合コスト観点での交渉を荷主と行うことが推奨されています。これは政府要請が裏付ける方向性です。


2. 「コスト上昇分の価格転嫁」を交渉の基盤に

政府要請では、運送受託者(運送会社)も燃料コストの下落分だけでなく、他のコスト増分も含めた協議を行うべきと明記されています。

👉 この点を交渉で活かすには:

総合原価ベースでの運賃提示(燃料だけでなく年間の人件費上昇、社会保険料増、車両維持・更新費など)
標準運賃・標準原価計算の根拠を示した提示資料準備(合理性を荷主に説明できる形)
燃料価格変動だけの条件変更は適正取引に反する可能性があることを丁寧に説明

これにより、単純な値下げ圧力を回避し、運賃はコスト構造に基づくべきという論点で交渉できます。


3. 「労務費転嫁指針」を使った交渉材料の補強

政府要請でも触れられているように、労務費の適正な転嫁は公正な価格形成の重要要素です。

👉 交渉時に強調すべき点:

ドライバー人件費の上昇要因と正当性(最低賃金改定、労働時間管理、技能コスト等)
適正な労務費転嫁をしない事業者との取引は競争ルールに反する懸念がある
✔ 価格交渉促進に関する政府ガイドライン(中小企業庁・公正取引委員会)との整合性

これにより、人件費を軸にしたコストベース交渉を合理的に荷主側に説明できます。


4. 交渉資料のポイント(実務的活用)

交渉で説得力を高めるため、以下を整備することをおすすめします:

● コスト内訳資料(詳細版)

  • 燃料費(過去2年の推移)
  • 人件費(給与・社会保険料)
  • 車両維持費(定期点検・タイヤ・部品等)
  • 保険費用
  • その他物流附帯費

● 標準運賃・原価計算の根拠

  • 国土交通省・全ト協ガイドラインを参照した標準運賃計算表
  • 荷主の協議用に簡潔に整理した原価構造

● 競争条件・取引ルール説明資料

  • 優越的地位の濫用禁止(取適法、下請法類似ルール)
  • 適正取引推進ガイドライン(国交省)へのリンク引用

これらを用いることで、感情論ではなく数字とルールに基づいた交渉が可能になります。


5. まとめ:交渉のキーワード

交渉テーマ根拠・材料
燃料価格だけで運賃を決めない政府要請文の趣旨
コスト全体での運賃設定コスト構造説明+標準運賃根拠
労務費の正当な転嫁労務費転嫁指針
適正取引の必要性適正取引推進ガイドライン