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運送事業者に参考となる記事がありましたのでご紹介いたします。ポイントは3つです。①過度な投資を控える。②社内投資(従業員育成、競争力の高い商品開発)に力を入れる。③キャッシュを貯める。

物流ニッポン3月20日付記事抜粋

2017年に何を考えるか?中小・零細粗利を多くー「運ぶだけ」では生き残れない₋事業パートナ₋代表取締役社長 松本光輝

自民党は、昨年の参議院選挙で圧勝し、一人勝ちという雰囲気だ。総裁の任期を延ばしたことから、2021年までは現首相が舵を取り、その後もその路線は大きく変わることはないだろう。そう考えると、20年ごろまでの日本の経済状況がみえてくる。現政権の政策の柱は三つ。①「金融緩和」によって世の中にお金をジャブジャブ行き渡らせる②財政出動による公共事業拡大、補助金の積極的支出により社会を活性化させる③規制緩和をして経済を刺激するー現在、金融政策の一つである「マイナス金利」によって世の中に激震が走っている。特に、銀行の経営者たちは夜も眠れない日々を送っている。向こう15年以内に日本の銀行の半分は消えて無くなると思われる。銀行商売はもうからない商売になったということである。マイナス金利が及ぼしている影響には、国民にとって良い面と悪い面がみられる。良い面は、住宅ローン金利が下がったり、企業の借入金利が下がったりして、不動産業者などが恩恵を受けるといったことだ。運輸業にとっても、企業が生産量を上げたり、店舗網を増やしたりすることによって、プラスの効果が出てくるはずである。しかし、現実は少し違う。企業はまだ将来の景気に不安を持っているため、設備投資をしたり、社員の給料を上げたりすることにためらいを持っている。つまり、20年以降を心配しているということだ。これに対して、大手の建設・不動産、運輸業の鼻息は荒い。しかし、歴史を振り返れば、上がった凧は必ず落ちる。さて、17年はどの様な年になるのか?三つの視点から予想してみる。①米国のトランプ政権による為替の変化。これは、もう少し状況を見る必要があるが、べこくの経済が良くなるということは、ドル高・円安の可能性が高い。輸入・輸出関連企業の明暗が分かれる。運輸業界にとってみると、輸出関連企業をお客様としている企業には恩恵が出てくるということで、逆に輸入関連企業は利益が薄くなり、運賃などの値下げ圧力は高まる。②国内経済は、国家予算に限界があるために思い切った手立てを打てない。物価上昇率2%の実現はどうみても無理。つまり、17年の国内景気は16年と変わらない。その一方で、金融庁は金融機関に融資制度の大転換を求め、独自性を強いる。ゾンビ企業に見切りを付けさせ、新陳代謝を促す。つまり、法人税を納められない赤字企業は要らないということだ。③ますます「人が足りない」という現象が起こる。給料も上げなければならない。企業にとって厳しい年となる。

運輸業界に焦点を当ててみよう。一口に運輸業と言ってもその範囲は広いが、基本は同じ。経営者は17年を初年として、次のことをしっかり考えなければならない。①どの業態に特化するか②10年後のゴールは目をつぶっても見えるように可視化する。③資金にゆとりのある企業はIT(情報通信)・AI(人口知能)を含め(施設、車、管理システム)にお金を使い、そうでない企業は「人の育成(給料、資格、労働環境)」に力を入れる。④中小・零細企業は、売上を伸ばすことを考えずに、利益を増やすことを考える。そのためには、粗利を多くすることを考える。ただ運ぶだけでは、生き残れない。価格勝負になれば、資金力のある企業には勝てない。「あの会社は〇〇がすごくいい‼」と言われるものを、一つだけで良いから持つ。⑤「A地点からB地点にモノを運ぶだけ」という時代は終わった。今後、輸送形態の多様化が必然となる。運ぶ以外のサービスを自社の商品とすることを考える。結論を言えば「運ばない運送事業!」という業態も考えてみる。⑥経営者は自社の財務諸表を読めないと事業計画書を作れない。「現場の熟練者から先を読める経営者」にならなければならない。⑦ドライバーを含めた企業の質が求められる時代に突入する。特価力か総合力が要求される。17年は16年までと大きく変わることはないが、運輸業を含めた企業経営を「アマチュアからプロ」に移行させていく上で、経営者の能力が求められる最初の年となるだろう。それには、事業継承も含めて、過去の経営術からこれからのスピードの早い時代に対応する経営術に、大きく舵を切らないければならない。17年にやるべき三つのことを列記しておく。特に中小零細企業にとっては重要だ。①過度な投資(車の買い替え、施設の改装など)はやらない。18年までは、日本の経済状況をよく見て判断する方が賢明。②社内投資(従業員の育成、戦える新たな商品開発)に力を注ぐ。③キャッシュをためる。近いうちに有効に使う時代が来る。再度、申し上げるが「経営は足元でしてはならない‼」17年は運輸業にとっても黎明期となる。