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例年11月は全ト協と各都道府県ト協における「CO2排出量把握促進月間」とされ、環境問題への意識が高まる時期です。

「うちのような中小企業には関係ない」「大手の話だろう」と、これまでCO2排出量の把握に積極的でなかった事業者様もいらっしゃるかもしれません。しかし、日本の物流全体が「脱炭素化」へと大きく舵を切っている今、CO2排出量の把握は、皆様の事業を今後も継続していくために、非常に重要性の高い取り組みとなっています。

なぜ中小の運送事業者にもCO2排出量の把握が必要なのか?

現在の法規制では、CO2排出量の報告義務があるのは、大規模なエネルギー使用者や、年間3,000万トンキロ以上の貨物輸送を依頼する特定荷主、または車両合計が200両以上の特定輸送事業者に限られています。

しかし、規制の対象外である中小事業者様も、決して無関係ではありません。その理由は主に以下の2点です。

1. 荷主からの「報告要請」が増加しています

大口の荷主(特定荷主、または上場企業など)は、国や投資家、社会に対して、自社の事業活動全体でどれだけCO2を排出しているか(サプライチェーン全体の排出量を含む)を報告する義務や要請が高まっています。

この「サプライチェーン排出量」には、皆様が行う輸送によって排出されるCO2が含まれます。

そのため、今後、荷主企業は取引のある運送事業者に対して、**「うちの貨物を運んだ際のCO2排出量を教えてほしい」**という報告を求めるケースが確実に増えてきます。この要請に応えられない場合、取引の継続や新規契約において不利になる可能性も出てきます。

2. 将来的に規制の対象が拡大する可能性があります

現在は大規模事業者が中心ですが、カーボンニュートラル社会の実現に向け、将来的にはCO2排出量報告の対象となる企業の規模が引き下げられたり、何らかの形で中小企業にも把握・削減の取り組みが求められたりする可能性は十分にあります。

今から準備を進めておくことは、将来的な規制強化への備えにもなります。

まずは何から始めるべきか?

難しく考える必要はありません。CO2排出量を把握するための基本データは、皆様が日常的に記録しているデータです。

ステップ1:自社のCO2排出量を「見える化」する

まずは、車両ごとの「燃料使用量(軽油・ガソリン)」「走行距離」といった基本的なデータから、自社のCO2排出量を計算してみましょう。

ステップ2:「削減目標」と「改善策」を考える

CO2排出量を把握できたら、次は「どうすれば減らせるか」を考えます。

  • 燃費の改善: エコドライブの徹底、アイドリングストップの励行
  • 効率的な運行: 積載効率の向上、共同配送の導入、無駄な走行の削減
  • 車両の更新: 省エネ車両やEV(電気自動車)、FCV(燃料電池車)の導入

これらの取り組みは、CO2排出量の削減になるだけでなく、燃料費の削減にも直結し、結果として皆様の経営の安定にもつながります。

まとめ

CO2排出量の把握は、単なる環境対策ではなく、「荷主との信頼関係を維持・強化し、安定した仕事を確保するための経営戦略」の一環です。

11月の促進月間をきっかけに、自社のCO2排出量の「見える化」を始め、脱炭素時代に対応できる運送事業者を目指しましょう。

組合としても、皆様のCO2排出量把握、削減に向けた取り組みを支援してまいります。ご不明点がありましたら、お気軽にご相談ください。

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