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〜 10月は「年休取得促進期間」。目標達成は「義務」です。「休み方」を変えて「業務のムダ」を徹底排除せよ!〜

「ワーク・ライフ・バランス」と聞くと、運送業界とは無縁な話だと感じるかもしれません。しかし、年次有給休暇(年休)の取得促進は、今や運送事業の経営戦略そのものです。

政府は、令和10年までに年休の取得率を70%とする目標を掲げています(令和6年8月2日閣議決定の「過労死等の防止のための対策に関する大綱」)。現状、令和5年の取得率は過去最高の65.3%に達しましたが、目標達成にはまだ届いていません。

この目標達成は、コンプライアンス遵守だけでなく、貴社の経営体質を根本から改善するチャンスです。

経営者が無視できない年休取得率向上の「実利」

ドライバーや社員が年休を取得しやすい環境を整備することは、一見すると手間やコストに見えますが、実は以下のような**「経営上の実利」をもたらします。

  1. 【業務の平準化と生産性向上】
    • 年休を計画的に取得させることで、突発的な欠勤や業務の属人化を防げます
    • 「誰かが休んでも回る」体制を作る過程で、ムダな作業や人員配置のボトルネックが明確になり、業務フローの改善が強制的に進みます
  2. 【人手不足対策と定着率向上】
    • 長時間労働規制(2024年問題)と並行し、「休みやすい会社」は、採用市場で圧倒的な競争力を持ちます。特に若いドライバーの獲得・定着に直結します。
  3. 【重大事故の予防】
    • 疲労やストレスは、重大な交通事故や健康起因事故の最大のリスクです。しっかり休ませることは、事故リスクを減らす最強の安全投資です。

いますぐ導入を検討すべき2つの制度

厚生労働省は、年休を取得しやすい環境づくりのため、以下の2つの制度の活用を推奨しています。これらは単に休みを増やすだけでなく、業務を計画的に運用するための強力な武器になります。

制度名仕組み経営メリット
年休の計画的付与制度年休の付与日数のうち5日を除いた残りの日数について、労使協定を結び、計画的に取得日を割り振る制度です。業務のピークとオフピークを把握し、計画的に休業日を設定できます。突発的な年休申請による業務への影響を回避し、業務の平準化に大きく貢献します。
時間単位年休労使協定を結ぶことにより、年5日の範囲内で年休を時間単位で取得できる制度です。ドライバーが通院や役所の手続きなど、生活上の用事を済ませやすくなります。社員の事情に柔軟に対応することで、満足度が向上し、離職防止につながります。

10月は「年次有給休暇取得促進期間」です。

「休ませる」ではなく、**「計画的に業務を回すために休ませる」**という視点に切り替えることが、運送事業の生き残りをかけた次のステップです。この機会に、年休取得を「責務」として捉え、会社の成長に繋げてください。